品質保証部門 サラリーマンの日常と実態

大企業の品質保証部門で働く四大卒、サラリーマンの日常と実態

在庫は悪だという考え方を変えなくてはならない

在庫は、品質保証の観点から、あったほうが良いです。

 

生産統括部門や販売部門からしたら、在庫はどちらかというと

悪だという考え方です。

 

理由は利益を圧迫するからです。

在庫を溜めた分、それはキャッシュフローの低下を招きます。

保管スペースや維持費、倉庫要員も多く必要となります。

なので、在庫は最小で回せ!と言うことになるのです。

 

しかし、その考え方は改めなくてはなりません。

 

お客さんが一番困るのは、不適合品や

未検査品が納入されてしまうことです。

 

在庫を持つということは

品質保証の観点から、いい面ももたらしてくれます。

 

1. 検査を行う時間を確保できる

お客さんに製品を届けるには、品質の基準に達したものではなくてはいけません。具体的には、検査に合格したものを出荷する必要があります。ロット検査や抜き取り検査、

全数検査など複数あるかと思いますが、検査するには、時間がかかります。

その間に、OK品の在庫を消化しながら、検査が終わるまでの間、時間稼ぎをして食つなぐのです。

もし在庫がなければどうでしょうか?

おそらく、検査合格まで、製品の出荷が間に合わなくなり、とりあえず間に合わなくても、出荷してしまえ、ということにもなりかねません。

 

2.万一の生産、品質トラブル時のバッファーとなる

生産をしていると、さまざまなトラブルが発生しうります。

たとえば、設備の故障によるドカ停です。最悪、出荷するものがなくなり、客先のラインをショートさせる欠品リスクが伴います。

また、品質トラブル、たとえば製造中に異物が発見された場合などです。この場合、材料などのロットまで特定し、その製品らは、倉庫からの出荷を保留して、選別作業などをする必要が出できます。

これらの場合、正常復帰するには1日や数日かかることもあるでしょう。

その場合、助かるのが在庫です。在庫が多めにあれば、無事なロットのものから

出荷をつないでいき、その間に正常復帰の処置や、再生産などを行うことができます。

 

3.特別輸送のコストを削減できる

特別輸送とは、通常ならトラック便(定期便)で客先へ届けるはずのものを、赤帽を飛ばしたり、飛行機に乗せたりすることを示します。

在庫が少ない場合、常に欠品のリスクが伴いますので、このような特別輸送をすることが増えます。

例えば、軽トラの赤帽でも1回呼ぶだけで、数万は軽く飛んでいくのです。

在庫があれば、これらのイレギュラーな業務は発生しません。

輸送のコストだけでなく、それらに関わる伝票処理とか、配車業務とか、そのようなことも削減することができます。

 

このように、在庫を持つということは、いい側面をもたらしてくれます。

 

ただ、持ちすぎればいいというものではありません。

持ちすぎれば、長期在庫による錆とか、品質劣化とか負の側面ももたらします。

 

適正在庫については、安全在庫や適正在庫という考え方がありますので

そちらを参照すればいいかと思います。

工程内で異物を発見した時の対処法

工場で物を生産していると異物が発生することは、必ずと言っていいほどあります。

品質管理を経験した人なら分るでしょう。

 

いきなり、現場の班長から、PHSなどで

電話がかかってきます。

 

「今、生産中の物を見ると、異物がついている。どこまでが範囲かわからない」

 

こんな感じです。

 

まず、ご自身が工場内で勤務している昼間なら

すぐに現物をまず見に行きます。

 

金属か非金属かで対処方法が変わります。

 

金属の場合、後工程で金属検知器や、X線検査があれば

ひっかかる可能性があるので、出荷されるリスクはない。

原因調査や製造履歴の調査のほうにより注力します。

 

設備の部品のようなものが異物なら

即、設備・保全課に現物を見せて、どこの機械の

部品かあたりを付けてもらうようにしましょう。

 

一番やっかいなのは、プラスチック、木、紙などの

非金属系でかつ、もろくてバラバラになりやすいものです。

 

まず発見した場合は、そのロットや台車にある

物を保留します。前後ロットも対象としたほうがいいです。

 

目視で外観で選別できる場合は、選別をして、問題なければ

後工程へ流すようにします。

物流倉庫の品質管理(外観)とは?

工場で生産した製品の在庫を持つため、

工場内や外部の倉庫に、製品を保管しますが、そこでも品質は求められます。

 

今回は外観に絞って話します。

倉庫において、外観に及ぼす要因には下記があります。

 

①天井からの雨漏れ

えっ?家とかでは雨漏りしませんよ、そんなの嘘でしょ?と思う方もいるかもしれませんが、これが現実です。意外と起きたりしているものです。

対策としては屋根の二重化。また定期的に補修する体制も必要です。もし雨漏りしたら、即真下にカラーコーンを置いて、その下に製品を置かないようにします。

 

②砂埃

海岸に近いとかの場合、浜辺の砂が飛んできて、製品を汚したりすることが考えられます。用地選定は重要です。

 

③紫外線

ゴムなどの製品は紫外線は、製品品質に悪影響を及ぼしえます。

 

④ハトのフン

実際あるんですよ。これが客先まで行って、クレームになるケースが。対策としては倉庫内でハトが住み着かないように、ハト除けの薬を置いておくことです。そしたら、鼬ごっこで、倉庫内の別の場所に巣を作るかもしれませんが、根気よくやるしかありません。

 

⑤枯れ葉・落ち葉

対策としては、窓を網戸にすればOKです。夏でも網戸にしておきましょう。

 

⑥コンベアのバリによる製品への傷

これは結構、多発性があります。いくつもの製品が何度も同じ場所を気づかないうちに通過するからです。傷だらけになることは十分に考えられます。対策としては、バリの面取りを実施することです。

 

フォークリフト類などによる梱包の突き破り

人はミスをするものなので、ミスをして仮に破いてしまった場合の、異常処置行動をマニュアル化しておくことです。そうすれば、破いたまま放置して、上司には黙っておこうとすることは、防げます。

 

⑧荷下ろし時の横殴りの雨

トラックからの荷下ろし時には、屋根がある場所にて行わないとまずいです。

 

きちんと倉庫での品質管理をしておかないと、顧客から外観関連のクレームが来た場合に、どこで発生したのか、工場なのか、輸送中なのか、倉庫なのか特定がしにくくなってしまいます。そうすれば迷宮入りをして、今後の対策の打ちどころもわからなくなってしまいます。

 

倉庫業務も、QC工程図の範囲内です。これらのことは作業標準書や、QC工程図などにもきちんと書き込んで、全員で順守する体制作りが必要となります。

倉庫のすぐ先は、顧客です。もう後はありません。それを意識した

倉庫業務が求められます。

 

ISO/IATF16949で求められる、要員の能力在庫表・力量表とは何でしょうか?

能力在庫表、力量表とは、課や係のメンバーの名前が縦軸にあって、横軸に業務内容・作業内容があり、4段階くらいの習熟の星取表があるものです。

 

ISO/IATF16949やISO9001の審査での要員の力量を示すものとしては、一般的ですね。必ずしも上記のフォーマットを用いることを強制はされておりませんが、上記が一番説明しやすいので、普段用いています。

 

では自動車産業のISO/IATF16949では、何が求められるでしょうか?

それはコアツールや、ISO/IATF16949の知識とかです。

 

これらの力量が項目として入っていなく、評価もされていないとなると、本審査でマイナー不適合(軽微な不適合)を実際に食らったことが、自分がいた会社の他事業所で何回もあります。

 

では具体的には、どのような項目を力量表に入れておいたほうがいいのでしょうか。

「APQP、PPAP」「SPC」「FMEA」「ISO/IATF16949要求事項」「MSA」があれば完璧でしょう。

 

よくあるのが、製造部門では、玉掛作業、フォークリフト作業とか、実務に関する項目については充実しているのですが、本審査で審査官が求めているTSに関する力量、コアツールとか、そういうのが全然欠落しているケースが多いんですよね。

これは、単純にISOに関する知識不足によるところが大きいです。

 

尚、力量表に「コアツール」と一括りにしてしまうのは、あまり得策ではありません。これでマイナーを食らうことはありませんが、コアツールといっても5個もあるので、どうやって一遍に評価するんだという話になります。

 

更に設備課などに、計測器の校正要員がいるかと思いますが、力量表には、「校正業務」「ISO/IEC17025の知識」を入れておいたほうが良いです。

 

では今まで述べてきた力量は、例えば製造課のXX係の場合を想定すると、現場の末端にいる作業員、作業者レベルにまで求められることでしょうか?いいえ、そうは思いません。そこまで全員に入れる必要はありません。作業者は、QC工程図を順守し、異常があれば即リーダーに連絡することが求められております。例えば、管理図で異常があれば情報を上げるとか。

また班の中で改善サークルによる改善提案も日常的に行っております。

 

なので、FMEAとかMSAとかの知識までは必要ではありません。

せめて力量表に書くとしたら、「QC7つ道具」レベルでよいでしょう。

 

では、FMEA、MSAとかは、現場の班長、主任、課長、または日勤のスタッフ業務をする中で、核となる主担当者あたりまで把握しておけばよいです。

また現場の主任、班長といっても全員が全員、上記の力量をフルスペックで、持っておく必要はなく、FMEAは係の中で、最低●人持つことが目標とか、自分たちでルールを決めて置き、コアツールの業務を係全体として回せる体制があればOKです。

 

コアツールなどの知識が特に必要なのは、品質保証部門、技術部門のスタッフですね。

品質保証部門に10人メンバーがいたとしたら、上記の力量をフルスペックで必要な人が3~4人、残りの6~7人のメンバーも全部ではないにしろ、ISO/IATF16949の基礎知識は全員持つとか、ある人にはFMEAくらいは持たせようとか、それくらいは必要ではないかと思いますし、実際、そうして本審査に臨んできました。それで不適合(マイナー)はありません。

ISO9001の本審査での庶務・事務的な手続き・段取りは完璧か?チェックリストを提供します

ISO9001の本審査を迎える上で、庶務業務で重要な点を書きます。

下記をやっておけば完璧です。本番でも臆することなくスムーズに迎えれます。

 

・日程は工場や会社の大きな行事と重なっていないか?

・工場長のスケジュールは抑えたか?

・工場長へ事前に聞かれそうな内容をインプットしたか?

・応接室は抑えたか?

・会議室は抑えたか?

・プロジェクターは準備したか?

・審査員や工場幹部のネームプレートは用意したか?

 

・ホテルの手配要否は確認したか?

・弁当の手配は済んだか?

 

・当日のアテンド者は決めたか?

・お茶の用意はしたか?

 

・計測器の現場審査時は、設備・校正要員も同行を依頼したか?

・工場の安全教育資料は用意したか?

・工場の見学時に、ドアを開ける要員は確保したか?

・工場見学時に、案内係は用意したか?

・見学通路の3Sは十分か?

・当日見せようとしているマシーンは、生産しているか?(休転していないか?)

・工場見学時は、先導員や安全確保の要員を配置したか?

・インカムは用意したか?(工場見学時はあったほうがいい)

・インカムの充電は十分か?

・審査員の安全靴や帽子は用意したか?

・工場のパンフレットは用意したか?

・工場が広い場合、移動にマイクロバスと運転要員は確保したか?

・工場内の各幹部や主要な人員のPHSの一覧表は準備したか?

 

・守衛所には、審査員が当日何時に来るか知らせたか?

 (タクシーならいちいち止めずに、そのまま玄関まで通してもらう)

・事務所の社員らには、審査員が来る時間を伝えたか?

 (来たと同時に全員で立ち挨拶する)

 

・審査部署には、開始時間の会議室への入室に遅れがないように周知したか?

(だらだら遅れて入るとよくありません)

・オープニングミーティング、クロージングミーティングに

 遅れないように会議室へ集合することを幹部らに周知したか?

・オープニングミーティングや、クロージングミーテイングの席次表を作ったか?

上記の座席数を数え、不必要な人員は参加しないように言ったか?

 

・審査中にメモをとる要員は確保したか?

・初日の審査時に、ほかの部署や工程からも同席して、どんな質問が来るか

  聞いておくように、各部署へ周知徹底したか?

 (審査員により、聞く内容に特徴があるので、ぜひほかの人たちも

  端っこのほうで、同席させます)

 

これらのチェックシートは、私自身が工場にて4年にもわたり、ISOの本審査の窓口をしてきて、実際に厳しい審査員と渡り歩いてきたからこそ、言えるものです。

ここには血と涙と苦労したことを凝縮して書いています。

 

ぜひ参考にしてもらえたらありがたいです。

 

ISO9001の定期審査で、審査会社とのやり取りは、いつから始まるのでしょうか?

3か月前です。審査会社から、申込書の記入の依頼がメールできます。

添付ファイルのエクセルに記入シートがあり、そこに記入して返信が必要です。

 

このタイミングで審査日程、何日~何日でお願いしますという打診を、審査会社へメールで行います。それと同時に工場の幹部や製造現場の課長・主任らには、スケジュールを抑えておくようにします。

 

申込書は、2か月前前くらいまでに出します。

 

日本の文書のように、上司のハンコは必要ありません。メールで添付ファイルに記入して返信です。(まあ、記入したら上司には説明しますが)

ISO/IATF16949の場合は、SF01というIATF用の見積書とQMS(ISO)の申込書です。

従業員の人数とか(ざっくり10の桁くらいまで合えばOK)、リモートロケーション(工場の場合は普段関わっている本社、研究所が対象となります)、顧客名(トヨタとか)、組織(工場の場合、工場)が、どのような業務をしているか、Yes or Noで答える設問もあります。ここは大まかで良いです。

 

これらの見積書を出すと、審査会社から、工数(何日かかるか)と審査費用が請求書として紙で届きます。そして覚書として、品質保証課長のサインをして、返します。

 

1か月半~1か月ほど前になると、今度はこちらから審査会社へ、詳細なスケジュールの案を送ります。それと同時に、工場内の各部署のスケジュールも確認して仮でスケジュールを抑えておきます。

要は1日目は、どのプロセス(部署)とどのプロセス(部署)を受審し、シフト監査は夕方と朝にとか、審査期間中の時間割です。

午前に1部署、午後に1部署が妥当な時間割です。審査員が2人いる場合には、それぞれバラバラにパラで審査が行われます。

 

それを送ると、ほぼほぼ、それにて審査が行われますが、審査員がシフト監査は、1日目じゃなくて、2日目にしてくれとか、若干の変更要望はきます。

 

そして審査会社から1か月半くらい前になると、いろんな書類を事前に送るように指示が来ます。

 

たとえば、内部監査の計画書、報告書、品質指標KPI、マネジメントレビューの議事録などです。これらもZIPファイルにして電子メールで、審査会社へ送ります。

 

そして後は本番です。審査会社によっては、審査員が自分自身で宿泊先を確保することが基本のところもありますので、事前に確認しておきましょう。タブルブックにならないように。あと、当日の昼食は用意してあげたほうが良いです。弁当を注文するのが良いです。たとえ向こうが用意すると言っても。応接室を1日抑えておきましょう。

工場内での各工程、関連部署への4M変更などの通達は、文書にて行おう

これは基本です。

 

4M変更とは、人・モノ・方法・機械を変更した時のことを差します。大小含めて、工場では日常的に行われています。

 

各工程内の日常改善レベルや、機械を修繕したレベルなら問題ないですが、大きな4Mが関わるときは、現場にいる作業員にまでそれを周知しておく必要があります。

 

ではスタッフ部門、間接部門の人たちは、4M変更を自ら提案して実行化するときに、どのようにして工場内の人たちに周知すべきでしょうか。

 

それは文書です。通達書のようなA41枚で、発信します。できれば規定フォーマットとしておくことがよいです。具体的には工場での品質運用のマニュアル・手順書に、4M変更についても記述し、規定フォーマットを作っておくのです。

 

課長の承認得てハンコをつけた文書を、pdfでメールに添付したり、FAXなど製造現場の課長や主任さんたちや、技術課、生産管理課などにも送付します。

 

それだけでは不十分です。時にかかわる製造現場に関しては、通達書を印刷して、主任のところに直接持参して、簡単に説明します。そして各班の班長さんらに、きちんとシフト交代時に、申し送ってもらうようにします。

そして自らも、最初のシフト交代時の班長らのミーティング時に顔を出して、自ら説明をするのです。

 

そうすれば、製造現場の隅々まで伝わるようになります。

 

一番まずいのは、口頭だけです。これだと漏れます。

またメールだけもあまりよくありません。後から棚卸ができませんし、履歴としても残りにくく、ISO上もあまりよくありません。

 

もちろんそんな大してないレベルのことなら、メールでもいいですが、品質に影響を及ぼすような4M変更時には、必ず文書で伝えましょう。

 

そして製造課にて実行してもらった後の、フォローもきちんとしましょう。具体的には、作業員へ使い勝手や使いやすさを聞いたり、何か特異な変化や異常がなかったかなど、聞きこんだりチェックシートに書き込んでもらったりして、数日様子をみるというものです。チェックシートもYes/Noでこたえられるように、簡素化して作りましょう。

 

問題がなければその4M変更はクローズとなります。あっ、そして忘れてはいけないのが、FMEAにも反映しておきましょう。残しておくと後世に残り、財産となります。これは自動車産業の場合には重要です。それ以外の産業の場合は、FMEAは特に要求されていないので、この話はとりあえず忘れて問題ないです。

 

お疲れさまでした。