品質保証部門 サラリーマンの日常と実態

大企業の品質保証部門で働く四大卒、サラリーマンの日常と実態

ISO/IATF16949で求められる、要員の能力在庫表・力量表とは何でしょうか?

能力在庫表、力量表とは、課や係のメンバーの名前が縦軸にあって、横軸に業務内容・作業内容があり、4段階くらいの習熟の星取表があるものです。

 

ISO/IATF16949やISO9001の審査での要員の力量を示すものとしては、一般的ですね。必ずしも上記のフォーマットを用いることを強制はされておりませんが、上記が一番説明しやすいので、普段用いています。

 

では自動車産業のISO/IATF16949では、何が求められるでしょうか?

それはコアツールや、ISO/IATF16949の知識とかです。

 

これらの力量が項目として入っていなく、評価もされていないとなると、本審査でマイナー不適合(軽微な不適合)を実際に食らったことが、自分がいた会社の他事業所で何回もあります。

 

では具体的には、どのような項目を力量表に入れておいたほうがいいのでしょうか。

「APQP、PPAP」「SPC」「FMEA」「ISO/IATF16949要求事項」「MSA」があれば完璧でしょう。

 

よくあるのが、製造部門では、玉掛作業、フォークリフト作業とか、実務に関する項目については充実しているのですが、本審査で審査官が求めているTSに関する力量、コアツールとか、そういうのが全然欠落しているケースが多いんですよね。

これは、単純にISOに関する知識不足によるところが大きいです。

 

尚、力量表に「コアツール」と一括りにしてしまうのは、あまり得策ではありません。これでマイナーを食らうことはありませんが、コアツールといっても5個もあるので、どうやって一遍に評価するんだという話になります。

 

更に設備課などに、計測器の校正要員がいるかと思いますが、力量表には、「校正業務」「ISO/IEC17025の知識」を入れておいたほうが良いです。

 

では今まで述べてきた力量は、例えば製造課のXX係の場合を想定すると、現場の末端にいる作業員、作業者レベルにまで求められることでしょうか?いいえ、そうは思いません。そこまで全員に入れる必要はありません。作業者は、QC工程図を順守し、異常があれば即リーダーに連絡することが求められております。例えば、管理図で異常があれば情報を上げるとか。

また班の中で改善サークルによる改善提案も日常的に行っております。

 

なので、FMEAとかMSAとかの知識までは必要ではありません。

せめて力量表に書くとしたら、「QC7つ道具」レベルでよいでしょう。

 

では、FMEA、MSAとかは、現場の班長、主任、課長、または日勤のスタッフ業務をする中で、核となる主担当者あたりまで把握しておけばよいです。

また現場の主任、班長といっても全員が全員、上記の力量をフルスペックで、持っておく必要はなく、FMEAは係の中で、最低●人持つことが目標とか、自分たちでルールを決めて置き、コアツールの業務を係全体として回せる体制があればOKです。

 

コアツールなどの知識が特に必要なのは、品質保証部門、技術部門のスタッフですね。

品質保証部門に10人メンバーがいたとしたら、上記の力量をフルスペックで必要な人が3~4人、残りの6~7人のメンバーも全部ではないにしろ、ISO/IATF16949の基礎知識は全員持つとか、ある人にはFMEAくらいは持たせようとか、それくらいは必要ではないかと思いますし、実際、そうして本審査に臨んできました。それで不適合(マイナー)はありません。